2013→2014

ブログを2ヶ月放置していたら、大晦日になってしまったので簡単に今年の振り返りを。あとid:kitoneからプレッシャーが…。

業務

いろいろと図書室の引っ越し準備の具体化とシステムリプレイスが大きなトピックでした。
システムリプレイスは自分が直接担当ではなかったので特に何かをしたわけではありません。ただ、ベンダーの切り替わるリプレイス(NALISからE-cats)と就職してから始めてNALIS以外の図書館システムを利用することになって新鮮でした。やっぱりデータ以降などは多々トラブルはあったようですしまだ完了していない部分もありますが、分館で閲覧業務を担当している分には特に支障なく移行が行われたように感じます。担当されたみなさまおつかれさまでした。
引っ越し準備は来年も継続して、作業計画を立て、実際にラベルやタトルを貼ったりするのでしょう。140万冊の図書の引っ越し準備作業というのはなかなか出来る経験ではないので、どこまで見届けることが出来るのかなぁという気分です。
また、NIIのWebサービス担当者研修のファシリテータを経験させていただいのも反省は多いのですが楽しかったです。同じ研修でも受講生とやや運営に近い側で見え方やまたそこから得られるものが全然違うなぁと実感しました。グループの議論にどこまで関わり、そのあたりで引くべきなのかという配分が分からないまま3日を過ごしてしまいましたが、最終的には自分には思いつかないアイディアによる成果を聞くことができとても嬉しかったです。今年受講生として参加された方が今度はファシリテータとしても参加してみたいと感じてくださっていれば、自分としては成功だったのかなぁと思っています。

来年はとにもかくにも粛々と目の前の引っ越し作業などをこなしていくことになりそうです。あとは某職能団体の全国大会が福岡開催かつ、そのお手伝いをすることが濃厚な雰囲気なのでどう関わるべきかなぁと。

大学院

いつものことな気はしますが、今年は惑ったなぁという反省しか。
必修の授業負担は減り、和漢籍の目録やIRに関する授業などとりあえずの関心にそった授業しかとっていないので、そちらは面白かったです。ただ、本業である研究の方では方向性がふらふらしてしまい、前向きに取り組めない時期もあったなぁと反省です。最後の最後でやっと具体的に手を動かし、いろいろ楽しくできるようになりました。このまま、あと一年できっちり修論にまとめるというのが来年の最大の目標です。

課外活動

1月…図書館総合展 in くまもと
3月…大学図書館研究に論文掲載
7月…しぶ旅、医学情報サービス大会 in 沖縄で報告
8月…Code4Lib Japan カンファレンス
10月…東北からのお客さまの歓迎会2回、某松村さんの報告お手伝い
12月…某沖縄の私大で90分講義

ご一緒したみなさま楽しかったです、ありがとうございます!ご迷惑をお掛けした方どうもすみません…。
また、来年もどうぞ宜しくお願いします。

残りの2013年は、家族サービスしつつこの本を読みながら過ごそうと思います。
カーリルで開く

感想:図書館員のためのプログラミング講座

NIIのWeb担当者研修に受講生として参加した際に、お世話になった山本哲也さんの著作が刊行されました。

カーリルで開く
Amazonだと品切れ中ですが、hontoでは購入可能です。

山本さんは自分のグループのファシリテータではありませんでしたが、お願いして提案サービスのマスコットキャラクターをデザインしていただきました。

アカデみけ

掲載の許可とかいただいてませんが…。

さて、本書の内容です。
本当に始めてプログラミングを行う人を対象にしています。インストール、Pythonを電卓として使う方法からはじまります。プログラミングの基本構文や概念の説明後、実際の業務でもあり得るかもしれない状況として以下のような事例とそれを解決するためのプログラミングの考え方が示されています。

  • テキストデータの貸出履歴を集計(テキストファイルの扱いや基本的な構文の確認)
  • テキストデータから新着図書案内のWebページを生成(HTMLや文字コードの扱い)
  • 返却期限日の計算(標準モジュールの使い方)
  • 日報データの検索(簡易な全文検索

最後に作成したプログラムを組織で改良・維持していくためのコツや、発展的な内容を学習するための手引きがまとめられています。

挙げられている事例そのものは筆者ご自身も書かれていますが、Pythonを利用しなくともExcelなどである程度こなせるものがほとんどです。しかし、実際に数行から十数行のプログラムでどれだけの大きな効果が得られるのかということを実感できるものです。さらに組み合わせや発展的な内容を学習することで、Excelなどでは扱えない規模のデータや複雑な操作を実現のとっかかりとなるものです。

とても分かりやすくプログラミングを始めるのに必要最低限のことがまとめられています。プログラミングと聞いて身構えてしまわず、是非気楽に手にとっていただければ。ある程度の知識がある人にとっては、プログラミングの内容そのものには物足りなさを感じるだろうと思います。自分は仕事のなかでプログラミングやシステムとどのように付き合うのかというところで参考になる部分がありました。

個人的には

魔法のようなプログラムももちろん仕事を向上させる役に立つのですが、一向に魔法に見えない、ありふれた道具のようなプログラムもあってよいのではないでしょうか。そういったものが、自由に手直しをされながら、綿々と使い続けられていくようになるといいな

という部分に勇気づけられたので、恥ずかしがらずこれからも実際に手を動かしてコードを公開していこうと思います。

まえがきによると、本書は日本図書館協会とCode4Lib Japanのコラボから生まれたそうで、 「新着雑誌記事速報から始めてみよう ーRSSAPIを活用した図書館サービス」(牧野雄二, 川島斉著)に続く2冊目だそうです。今後も数タイトルが予定されているそうなので、期待して待ちたいと思います。

CiNii Books APIのJSON、クロスドメイン通信対応

2017/05/11 サンプルコードを少し修正


10月11日にCiNii Books の改修がリリースされました。
http://ci.nii.ac.jp/info/ja/index_2013.html#20131011-3
内容説明や目次の検索機能の提供や著者名ヨミの表示といった機能が追加されていますが、Li:d tech的に熱いのは、CiNii Books APIJSON対応やクロスドメイン通信への対応です。

クロスドメイン通信への対応

通常、Javascriptはセキュリティの問題から、異なるドメインのデータファイルへのアクセスは遮断されます。それを回避するためにこれまではデータの受け渡しをするためだけの別のプログラムを書くなどする必要がありました。今回の改修により、CiNii Books側でhttpヘッダに「Access-Control-Allow-Origin: *」という情報が追加されたことにより、そのような手間は不要になりました。

JSON対応

これまでデータの出力フォーマットはHTMLかRSSの2種類でしたが、JSON形式でも出力できるようになりました。JSONはHTMLやRSSに比べてよりプログラムで処理しやすいフォーマットです。そして、その中でもRDFのデータをJSONの文法に則って、Linked DataとするJSON-LDという形式で提供されています。*1
以下、CiNii Booksからタイトルに「高麗」というキーワードを含む図書のタイトルと所蔵館数を出力するサンプルです。

#coding:utf-8
import requests

baseurl="http://ci.nii.ac.jp/books/opensearch/search?"
query={"format":"json","title":"高麗","count":10}

r=requests.get(baseurl,params=query)
#for i in r.json()["@graph"][0]["items"]["rdf:li"]:#修正前
for i in r.json()["@graph"][0]["items"]:#レスポンスをJSONで受け取り、検索結果の一覧を取得
    print i["title"]+":"+i["cinii:ownerCount"]#検索結果の最初から順番にタイトルと所蔵館数を出力

#以下、出力結果
高麗:0
高麗野:4
高麗史:7
高麗史:52
高麗青瓷:2
高麗史:160
高麗史:5
高麗鏡 研究:4
高麗史節要:2
高麗犬:1

PythonのRequestsモジュールでCiNii Articlesのデータ取得 - よしなしごとをすこし修正したものです。このケースだと@graph要素直下が配列である必要はない気がしましたが…。

今回の改修でこれまでよりさらにCiNii Books APIを使用したプログラミング環境が整いました。ArticlesのAPIでも同様の実装を期待しています。

11月18日までCiNiiのアンケートが実施されていますので、是非日頃の感謝や要望を届けましょう。*2

https://portaltools.nii.ac.jp/cgi-bin/enquete/form/ciniiarticles_2013/
https://portaltools.nii.ac.jp/cgi-bin/enquete/form/ciniibooks_2013/

*1:JSON for Linking Data W3C勧告はまだ行われていませんが、一般に公開されています。JSON形式の上に@graphや@idなど語彙定義などが行われているようです。

*2:全件ダンプとか、ログの公開とか書きました…。可能な範囲で…

機関研究(Institutional Research)人材育成科目とその参考文献

カーリルで開く

九州大学で平成25年度後期から機関研究(Institutional Research)の人材育成を目的とした授業が開講しました。*1関心のある分野でしたので初回の授業に参加してきました。今後も可能な範囲で出席予定。

開講される授業は以下の5つ

  • 大学経営とIR
  • IRデータ収集・管理論
  • IRデータ分析論(平成26年度前期)
  • 大学評価とIR(平成26年度前期)
  • IRインターンシップ(平成26年度前期)

担当されるのは大学評価情報室の先生方です。今期は「大学経営とIR」「IRデータ収集・管理論」の2つが土曜日の1・2限に交互に開催されます。
カリキュラムはIRにおける5つのプロセス(1.課題・ニーズの同定・2.情報の収集・3.分析・4.提供・5.活用)にそって策定されたそうです。インターンシップは大学評価情報室での実施となるようです。

「大学経営とIR」は、大学経営におけるIRの意義やIRのニーズの基礎にある内外環境・ガバナンスの理解を目的としています。授業は講義数回と受講生による文献の報告・ディスカッションという形式です。
「IRデータ収集・管理論」は、大学におけるデータ収集・管理技能の取得を目的としています。データベース(Access、SQL)、Webアプリケーションの基礎から、DBアプリケーションの企画・仕様書策定といったカリキュラムを実習形式で行うようです。本当に初心者向けのところからスタートするということでした。

どちらのスポットでの参加や見学歓迎ということでしたので、関心のある方は是非。詳しい日程など知りたい方はご連絡いただければ。

IRに関連する文献

「大学経営とIR」での報告文献及び参考文献として例示されている文献です。授業のカリキュラムにそって項目を立てています。

大学経営・IRに関する基礎知識

大学経営
IRの基礎知識
  • ゲイリー・マクラフリン , リチャード・ハワード . "IRの理論・実務・職業倫理". IR実践ハンドブックー大学の意思決定支援. ハワード リチャード編. 玉川大学出版会, 2001, p. 233-237.
  • 中井 俊樹, 鳥居 朋子, 藤井 都百. 大学のIR Q&A. 玉川大学出版会, 2013,
大学評価の基礎知識
  • 川口 昭彦. "高等教育の歴史と質保証". 大学評価文化の定着ー大学が知の創造・継承基地となるためにー. ぎょうせい, 2009, p. 46-101.
  • 森 利枝. "アメリカ合衆国における高等教育機関のアクレディテーション". 大学評価文化の展開ー高等教育の評価と質保証. 大学評価学位授与機構編. ぎょうせい, 2007, p. 97-112.
  • 吉川裕美子. "ヨーロッパにおける高等教育機関の質保証". 大学評価文化の展開ー高等教育の評価と質保証. 大学評価学位授与機構編. ぎょうせい, 2007, p. 113-122.

大学におけるIRの位置づけ

米国の大学におけるIRの状況
  • 山田 礼子. "アメリカの高等教育機関におけるIR部門の役割と事例". 大学教育を科学する 学生の教育評価の国際比較. 山田 礼子編. 東信堂, 2009, p. 137-156.
  • 青山 佳代, AOYAMA Kayo. アメリカ州立大学におけるインスティテューショナル・リサーチの機能に関する考察. 名古屋高等教育研究. 2006, no. 6, p. 113-130.
  • ランディ・L・スウィング. 米国の高等教育におけるIRの射程,発展,文脈 (特集 日,米,欧における国際的通用力を持つ大学評価システムの形成状況と日本の課題の研究). 大学評価・学位研究. 2005, no. 3, p. 21-30.(http://www.niad.ac.jp/sub_press/sciencemag/No3/02.pdf)
日本の大学におけるIRの状況
  • 岩崎保道. IR(Institutional Research)の実施状況と特徴 ―国立大学における取り組み状況に注目して―. 関西大学高等教育研究. 2013, no. 4, p. 19-27.(http://www.kansai-u.ac.jp/ctl/activity/pdf/kiyo_no.4_pdf/kiyo_no.4_03.pdf)
  • 沖 清豪. 日本の私立大学におけるInstitutional Research (IR)の動向 (特集 IRのいま). 大学評価研究. 2011, no. 10, p. 37-45.
  • 岡田 聡志. "私立大学におけるIR機能の担当箇所と今後の方向性との関係". 高等教育における IR(Institutional Research)の役割 . 日本私立大学協会編. 日本私立大学協会附置私学高等教育研究所, 2011, p. 25-42.(http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/result/pdf/2010_p06.pdf)
  • 高田 英一, 高森 智嗣, 森 雅生. 国立大学におけるインスティテューショナル・リサーチの機能・人・組織等に関する意識と現状 : IR担当理事に対するアンケート調査結果を基に. 大学評価研究. 2012, no. 11, p. 111-125.
IR実務者の視点から見た米国のIRの状況
  • 柳浦 猛. アメリカの Institutional Research IR とはなにか? . 国立大学財務・経営センター研究報告. 2009, no. 11, p. 220-253.(http://www.zam.go.jp/n00/pdf/ni005012.pdf)
  • 本田 寛輔. アメリカのIRと日本への示唆 (大学評価とIR). IDE. 2011, no. 528, p. 17-25.
  • 柳浦 猛. 「アメリカのIRの本質」?--日本でIRが根付いていくために必要なこと (大学評価とIR). IDE. 2011, no. 528, p. 12-17.
日本におけるIRの検討状況
  • 加藤 毅, 鵜川 健也. 大学経営の基盤となる日本型インスティテューショナル・リサーチの可能性. 大学論集. 2010, vol. 41, p. 235-250.(http://ci.nii.ac.jp/naid/110007588951)
  • 金子 元久. IR--期待,幻想,可能性 (大学評価とIR). IDE. 2011, no. 528, p. 4-12.
  • 森 利枝. "私立大学におけるインスティテューショナル・リサーチ構築に向けての検討". 高等教育における IR(Institutional Research)の役割. 日本私立大学協会編. 日本私立大学協会附置私学高等教育研究所, 2011, p. 15-24.(http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/result/pdf/2010_p06.pdf)

教学改善に関する 取組事例

米国の 取組状況
日本の 取組状況

研究評価に関する 取組事例

  • 大場 淳. 人文社会科学の研究環境とその評価. 高等教育研究. 2000, no. 3, p. 81-105.
  • 川口 昭彦. "多様なレベルの研究評価". 大学評価文化の展開ー評価の戦略的活用をめざしてー. ぎょうせい, 2008, p. 71-73.
  • 林 隆之. 大学の研究評価の変容と科学研究のガバナンス(我が国の公共セクターにおける研究・イノベーションの評価システムとマネジメント). 研究技術計画. 2010, vol. 24, no. 3, p. 231-242.
  • 林 隆之, 山下 泰弘. ビブリオメトリクスを用いた大学の研究活動の自己分析. 情報管理. 2011, vol. 53, no. 12, p. 665-679.(https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/53/12/53_12_665/_article)
  • 林 隆之. "研究評価のための指標". 大学評価文化の展開ー評価の戦略的活用をめざして. 大学評価・学位授与機構編. ぎょうせい, 2008, p. 74-83.
  • 福富 秀夫. "地域社会に貢献する研究". 大学評価文化の展開ー評価の戦略的活用をめざして. 大学評価・学位授与機構編. ぎょうせい, 2008, p. 84-95.
  • 本多 卓也, 慶伊 富長. 自然科学系の研究評価 . 大学論集. 2005, vol. 35, p. 403-418.(http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/pl_daigaku_2.php?k=35&y=2005&m=3)

経営改善に関する 取組事例

大学評価に関する 取組事例

日本の 取組状況
  • 江原 武一. "大学評価の効用". 転換期日本の大学改革ーアメリカとの比較. 東信堂, 2010, p. 240-274.
  • 川口 昭彦. "認証評価". 大学評価文化の定着ー大学が知の創造・継承基地となるためにー. ぎょうせい, 2009, p. 46-101.
  • 関口 正司. IRから見た大学評価の課題 (大学評価とIR). IDE. 2011, no. 528, p. 25-30.
  • 田中 弥生. "アクレディテーションとオーディット". 大学評価文化の定着 -日本の大学教育は国際競争に勝てるか?. 大学評価・学位授与機構編. ぎょうせい, 2010, p. 123-134.
  • 田中 弥生. "アセスメント ". 大学評価文化の定着 -日本の大学教育は国際競争に勝てるか?. 大学評価・学位授与機構編. ぎょうせい, 2010, p. 134-154.
  • 田中 弥生. "国立大学法人評価 ". 大学評価文化の定着 -日本の大学教育は国際競争に勝てるか? . 大学評価・学位授与機構編. ぎょうせい, 2010, p. 170-199.
「市場型大学評価」(大学ランキング)に関する基礎知識
  • 小林 雅之, 曹 燕, 施 佩君. 市場型と制度型大学評価の国際比較研究. 大総センターものぐらふ. 2007, no. 7,
  • 間渕 泰尚, 小林 雅之, 大多和 直樹. 市場型大学評価--正当化とセルフ・フィーディングの過程. 高等教育研究. 2002, vol. 5, p. 133-154.

まとめと展望

  • 加藤 善子. 機能するIR のかたち : 大学内での現実的な設計をめざして. 信州大学人文社会科学研究. 2012, vol. 6, p. 228-239.(https://soar-ir.shinshu-u.ac.jp/dspace/handle/10091/15632)
  • 秦 敬治. 日本の国立大学におけるIRの現状と課題に関する考察 (特集 IRのいま). 大学評価研究. 2011, no. 10, p. 29-36.
  • 松塚ゆかり. 高等教育のナレッジマネージメント : 米国のIRが進める学部横断的「知」の共有. 大学論集. 2010, vol. 41, p. 455-471.
  • 森 利枝. 日本の大学のIRーそれはいかにあり得るか. Between. 2009, 冬.
  • 吉田 文. 外部対応から内部改革へ-普及途上のイギリスのIR (特集 IRのいま). 大学評価研究. 2011, no. 10, p. 47-54.

*1:九州大学-お知らせ388番 IR(機関研究)人材育成に関する大学院共通教育科目の開講のお知らせ

TreeTaggerを使った英語の形態素解析

課題で英語の形態素解析をする必要があったのでツール・インストール・Pythonからの利用についてメモ。

日本語だとMeCabを使えばいいのですが。
Pythonで形態素解析 - よしなしごと

英語だとTreeTaggerというツールがあるということです。Windows・Linux・Macいずれの環境でも利用できます。
TreeTagger
英語だけではなくて、ドイツ語・スペイン語・フランス語やスワヒリ語なんかにも対応しているようです。対応している言語の一覧

オンラインで使えるツールも日本人研究者の方が作られていました。
TreeTagger Online
英文をいれてsubmitすると、結果のテキストが得られます。

インストール

公式サイトどおりの手順でインストールできました。
TreeTaggerのDownloadの項目から必要なファイルをダウンロード。以下のファイルです。

  1. 自分の環境にあったパッケージファイル
  2. tagging scripts
  3. インストールのためのシェルスクリプト(install-tagger.sh)
  4. 形態素解析したい言語のパラメータファイル

これらのファイルを任意の同一ディレクトリに保存します(とくに解凍などする必要はありません)。その後、OSのコマンドラインから保存したディレクトリに移動して、以下のコマンドを実行。

sh install-tagger.sh

これでインストール完了です。

echo "Hello world"|cmd/tree-tagger-english

とすると

Hello	UH	Hello
world	NN	world

のようなタブ区切りのデータが得られます。
左から入力した単語、品詞、入力した単語の原形となっています。

品詞は省略形で分かりにくいですが、こちらのページで訳してくださっています。

PythonからTreeTaggerを使う

どうせならPythonから使いたいので、ラッパーを探します。
公式ページのリンクにPythonラッパーへのリンクがあるのですが、いまいち動きません。
プログラミングなどのコミュニティサイトであるStack Overflowを調べていると同じような質問がありました。
python - AttributeError: 'module' object has no attribute 'TreeTagger' - Stack Overflow

この回答にしたがって、
http://cental.fltr.ucl.ac.be/team/~panchenko/def/treetaggerwrapper.py
からソースをダウンロードして、Pythonのライブラリ用のディレクトリに保存すると無事Pythonから利用することができました。

import treetaggerwrapper

tagger = treetaggerwrapper.TreeTagger(TAGLANG='en',TAGDIR='…/treetagger')#TAGDIRにはTreeTaggerをインストールしたディレクトリを指定。
tags = tagger.TagText("Save the time of the reader.")#解析したいテキストを引数に
for tag in tags:
    print tag

#以下、出力
Save	VV	save
the	DT	the
time	NN	time
of	IN	of
the	DT	the
reader	NN	reader
.	SENT	.

これで名詞だけ抜き出したり、ある名詞と共起しやすい形容詞とかの抽出とかに使おうかと。

PythonのRequestsモジュールでCiNii Articlesのデータ取得

いままでPythonの標準モジュールのurllib2を使っていましたが、Requestsモジュールがとても便利だったのでメモ。

インストール

pipやeasy_installでインストールできます。自分はMacPortsからインストールしました。

sudo port install py27-requests @1.2.3 

CiNii Articlesのデータ取得

import requests

baseurl="http://ci.nii.ac.jp/opensearch/search?"
query={"count":"200","format":"rss","journal":"図書館雑誌","api_key":********} #図書館雑誌掲載の論文をRSSの形式で200件取得
r=requests.get(baseurl,params=query)

print r.text #レスポンスの内容を表示

get関数にparamsという引数で辞書を渡せば、URLエンコーディングも含めて自動的に処理してくるのがいいですね。
以前は以下のようなコードを書いていました。別に標準モジュールでももっと簡潔にかけるとは思いますが…。

import urllib2,urllib

api_key=********
baseurl="http://ci.nii.ac.jp/opensearch/search?count=200&format=rss&journal="
query=urllib.quote_plus("図書館雑誌")
search_url=cinii_url+urlquery+"&start="+str(start)+api_key
url=urllib2.urlopen(search_url)

他にもポストでアクセスするときにはpost()というメソッドを使うといった直感的な命名、jsonで受け取ったデータを辞書やリストといったPythonのオブジェクトに変換してくれるといった便利な機能があるみたいです。

CiNiiにJSON出力機能が出たらもうちょっと追記するかも。

Code4Lib JAPAN Conference 2013に参加してきました。

台風の影響で直前までたどり着けるか不安でしたが、無事Code4Lib JAPAN Conference 2013に参加してきました。

このところ、id:kitoneid:haseharuと一緒にあれこれやってきた成果についてLTもやりました。

Conferenceの様子は以下のURLなどをご参考に。

参加者総計で60名で、大学・公共・専門図書館やベンダーとさまざまな立場の方が参加されていました。どの講演からもいろいろ刺激をうけましたが、とくにDan Chudnov(@dchud)の講演の中にあった"rough consensus and running code"が印象に残りました。他の方のお話しも含めて、技術の話だけではなくコミュニティの活動をどのように維持して活性化していくかということの工夫が随所にあっていろいろと我が身を省みる機会になりました。

プレカンファレンスでNext-L Enjuのチュートリアルからカンファレンス終了後の南三陸町図書館の見学まで参加したので満喫することができました。ブレイクアウトで遊んでたレゴとボードゲームがとても面白くて日付が変わるまで遊んでました。

キング・オブ・トーキョー 日本語版

キング・オブ・トーキョー 日本語版


お久しぶりの方もずっとお会いしたいと思っていた方と何人もお目にかかることができ、はじめての東北訪問がとても楽しいものになりました。大会実行員会のみなさまおつかれさまでした&ありがとうございます!
来年は修論に追い込まれてそうなので怪しいですが、その次の年などは運営のお手伝いなどもしたいと思います。