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広島大学図書館に行ってきました.

 全史料協の大会終了後,広島大学図書館に行ってきました.土曜日にもかかわらずご案内いただきました.どうもありがとうございます.写真の掲載許可などもいただきましたので簡単に紹介したいと思います.広島大学図書館には7年ほど前にフレッシュパーソンセミナーで訪問しましたが,ラーニングコモンズの設置などで大分印象が変わっていました.

広島大学図書館概要

 広島大学には3つのキャンパスと5つの図書館があります.今回訪問した東広島キャンパスには中央図書館・東図書館・西図書館の3つの図書館があり,そのうち中央図書館を見学しました.現在の建物はキャンパス移転後1992年から中央図書館として利用されているものであり,築20年になります.*1
地上3階,地下2階の構造となっています,地上部分が利用者用のスペースとなっており,地下が貴重資料室や書庫となっています.
中央図書館の蔵書数は約220万冊,座席数は約1200席でした.*2BIBLAという名称で2010年度よりラーニングコモンズをオープンしています.
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外観,朝10時の開館直前には30人強の方が並んでいました.

館内見学

いくつか写真と箇条書きで.

  • 入退館ゲートはBDSのみで,入館時のチェックはなし.(書庫に入るにはIDカードが必要)
  • 館内正面に学内のPC利用状況が分かるモニターが設置.
    • 大学全体を通して図書館の利用が突出しているそうです.

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  • 館内は3階まで吹き抜けで明るい雰囲気でした.

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  • ラーニングコモンズもパステル調の色でゾーニングされているようです.

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  • パソコンは一カ所に集中しているわけでは無く,各フロアに分散して配置.

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  • グループ向けのラーニングコモンズにも,各グループごとにPCが設置.
    • 一番利用率の高いスペースということでしたが,見学していても実感できるスペースでした.

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  • 入館してすぐの地域・国際交流プラザでは古典の日という展示が行われていました.
    • このスペースは学生の企画展示なども行うようです.

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参考:広島大学 中央図書館ラーニング・コモンズ『BIBLA(ビブラ)』

次の予定を組んでしまっていたので,慌ただしく見学させていただきましたが,もっと時間を取っておけば良かったと反省しています.

電子書籍出版システム

館内見学だけではなく,電子書籍出版システムについてもお話を伺うことができました.
今年度,広島大学はEspresso Book Machine(以下,EBM)を導入しており,それを活用したサービスです.
EBMは海外では6年ほどの実績がありますが,国内での導入事例は神田の三省堂につづく2例目ということです。富士ゼロックスからリースによる契約モデルが今年出来たことから,導入に踏み切ったということです。導入経費は図書館負担ではなく,大学全体での負担ということです.

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EBMについては下記を参照してください.
製本過程を動画で紹介:本ができあがるまでも楽しむ――Espresso Book Machineが国内でも販売へ - ITmedia eBook USER

Espresso Book Machineで1冊の本ができあがるまで

少部数の出版を安価*3に実現することでができます。利用対象は広島大学の構成員で,具体的な出版の対象として考えているのは,大学の授業で使う教科書,各種報告書や学生のレポート論文など学内の成果物などです.

EBM導入の狙いは教科書の安定供給,コンテンツの収集と教育的な効果ということです.
安価に少部数の印刷製本が可能な状況を提供することで,自作の教科書を作成しやすくするということです.原稿データはPDFとなっていますので,データのリポジトリ登録も含めて新たなコンテンツが図書館に集まってくる可能性があります.教育効果という面では,自分の書いたものがきちんとした書籍の形になって残るということで,学生の「書く」という行為に対する姿勢が変わっていくことが期待されるということです.広島大学の行動計画2012*4の中に,ライティングセンターの設置が掲げられていますので,そことの連携もあるのかもしれません.

例えば博士論文などを広島大学出版会を通して販売することも出来るそうです.ただ,EBMを大学全体の経費で導入しているとことから利益を出すような形ではなく,印刷製本実費での販売とし,そのかわり著者本人の負担は無料となるそうです.

サンプルを一部頂いたのですが,5分程度で製本されたとは思えないほどしっかりしたつくりのものでした。ある程度まとまった分量のものを書いた時に,1000円程度でこれが使えたら製本してみたくなると個人的には思います.
広島大学では図書館が出版会の事務を担当しているとのことであり,既に出版機能を持っていたことは,今回の導入につながっているのでしょうが,それよりも教科書作成やライティング支援など大学全体の教育支援につながることを強く打ち出されている点が重要だと感じました.

当初はEBM導入のことも知りませんでしたので,館内見学の他に実機を見せていただき感謝しております.
ありがとうございました.
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操作コンソールと実際に製本された書籍.

*1:中央図書館の設計は丹下健三氏によるものということです.広島大学文書館編. 広島大学の歴史.2008 http://www.hiroshima-u.ac.jp/upload/0/intro/rekishi/hirodainorekishi_kaitei.pdf の12ページでも紹介されています.Wikipediaによると丹下健三氏の他の図書館関係の建築作品としては津田塾大学(1954),立教大学(1960)などがあるようです.

*2:平成23年度広島大学図書館概要 http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/yoran/yoran.html より

*3:200ページくらい冊子であれば1冊あたりの単価は1000円未満,50部を超える場合は,さらに割引.

*4:広島大学の行動計画2012:http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/houjin/actionplan/p_ew532w.html