韓国の大学図書館で何が話題になっているのか? 2018年版

2018年のうちに書いておこうと思い…。

2018年6月20−21日、釜山で開催。
2018 전국대학 도서관 대회에 오신것을 환영합니다.
配付資料は以下で公開されています。PDF、英語のスライドもありますが、基本は韓国語です。
http://library.riss.kr/download/2018/2018_lib.pdf

分科会の構成が2017年に続き、今年も見直されているようです。2016年以前は、整理、収書、相互貸借、レファレンス・閲覧、電算部門の5つだったものが、2017年には図書館マーケティングが追加され、かわりに相互貸借とレファレンス・閲覧が統合、2018年には、図書館サービスとマーケティング、海外情報、デジタル学術情報の3つに変更されています。海外情報は旧収書の分科会という位置づけで、扱っているテーマは電子ジャーナル問題が中心になっています。CA-Rでも関連するトピックが取り上げられていますね。

全体会

  • 基調講演 新しい図書館政策と方向
  • 技術革新時代の大学の役割
  • 知能情報時代における大学図書館の問題解決策

館/課長会議

実務グループ分科会

図書館サービスとマーケティング

  • KERIS-国立障害者図書館 情報疎外階層への相互貸借連携サービスの紹介と協力案
  • 人が本である。Human Book Library
  • KAISTの研究成果サービスと論文の比較分析サービスの紹介

海外情報

−研究競争力確保のための大学図書館国家支援モデルの研究

デジタル学術情報

  • From Independent Collection Curation to Collaborative Knowledge Creation
  • 大学図書館のクリエィテイブスペースとメーカースペース運営のための機関リポジトリ活用事例
  • シラバス連携蔵書開発システムの開発と運用

2日目は、釜山大のSCI収録ジャーナルに発表された学術論文分析サービスやIthaka S+Rの「Supporting Research Across Asian Studies: Findings from a Large-Scale Qualitative Study」についての報告が行われています。

大学図書館のクリエィテイブスペースとメーカースペース運営のための機関リポジトリ活用事例

この発表が気になったので、ざっとスライドを見てみました。
延世大学の事例です。2017年にいわゆるラーニングコモンズ(IDEA Commonsという名称)とメイカースペース(IDEA Commonsに隣接、3Dプリンタや3Dスキャナ)を設置したようです。
オープニングセレモニーや紹介動画を公開していました。
youtu.be

研究データ管理の一環として、これらの空間で生成されたものも含む3D modelなどのデータも機関リポジトリで保存・公開するといったことを検討しているようです。2018年12月現在、ざっと検索した限りでは、そのようなデータは公開されていないようでした。保存や学内公開などが行われている可能性はあります。
延世大の機関リポジトリ
dCollection 디지털 학술정보 유통시스템
d3.jsを使ったワードクラウドなど可視化が良いですね。コンテンツは学位論文がほとんどで、FAQなども学位論文の提出に関連したものが中心です。

メーカースペースで生成される3Dデータの共有は面白いですが、まずユーザーにとって便利でなければ使われるはずがないので、どういったフローでの登録を考えているのかが気になりました。

延世大は2011年に見学しましたが、それから大分様変わりしているようですね。

大谷 周平, 和田 省子, 韓国の大学図書館における学習環境とサブジェクトライブラリアン, 大学図書館研究, 2012, 96 巻, p. 23-32, https://doi.org/10.20722/jcul.107.