感想:図書館員のためのプログラミング講座

NIIのWeb担当者研修に受講生として参加した際に、お世話になった山本哲也さんの著作が刊行されました。

カーリルで開く
Amazonだと品切れ中ですが、hontoでは購入可能です。

山本さんは自分のグループのファシリテータではありませんでしたが、お願いして提案サービスのマスコットキャラクターをデザインしていただきました。

アカデみけ

掲載の許可とかいただいてませんが…。

さて、本書の内容です。
本当に始めてプログラミングを行う人を対象にしています。インストール、Pythonを電卓として使う方法からはじまります。プログラミングの基本構文や概念の説明後、実際の業務でもあり得るかもしれない状況として以下のような事例とそれを解決するためのプログラミングの考え方が示されています。

  • テキストデータの貸出履歴を集計(テキストファイルの扱いや基本的な構文の確認)
  • テキストデータから新着図書案内のWebページを生成(HTMLや文字コードの扱い)
  • 返却期限日の計算(標準モジュールの使い方)
  • 日報データの検索(簡易な全文検索

最後に作成したプログラムを組織で改良・維持していくためのコツや、発展的な内容を学習するための手引きがまとめられています。

挙げられている事例そのものは筆者ご自身も書かれていますが、Pythonを利用しなくともExcelなどである程度こなせるものがほとんどです。しかし、実際に数行から十数行のプログラムでどれだけの大きな効果が得られるのかということを実感できるものです。さらに組み合わせや発展的な内容を学習することで、Excelなどでは扱えない規模のデータや複雑な操作を実現のとっかかりとなるものです。

とても分かりやすくプログラミングを始めるのに必要最低限のことがまとめられています。プログラミングと聞いて身構えてしまわず、是非気楽に手にとっていただければ。ある程度の知識がある人にとっては、プログラミングの内容そのものには物足りなさを感じるだろうと思います。自分は仕事のなかでプログラミングやシステムとどのように付き合うのかというところで参考になる部分がありました。

個人的には

魔法のようなプログラムももちろん仕事を向上させる役に立つのですが、一向に魔法に見えない、ありふれた道具のようなプログラムもあってよいのではないでしょうか。そういったものが、自由に手直しをされながら、綿々と使い続けられていくようになるといいな

という部分に勇気づけられたので、恥ずかしがらずこれからも実際に手を動かしてコードを公開していこうと思います。

まえがきによると、本書は日本図書館協会とCode4Lib Japanのコラボから生まれたそうで、 「新着雑誌記事速報から始めてみよう ーRSSAPIを活用した図書館サービス」(牧野雄二, 川島斉著)に続く2冊目だそうです。今後も数タイトルが予定されているそうなので、期待して待ちたいと思います。