濱田耕策先生最終講義「朝鮮鐘の文化史」

学部時代の恩師である濱田先生が今年度で退職されます.最終講義に行ってきたので,記録だけ.

九州大学-研究者情報 [濱田 耕策 (教授) 人文科学研究院 歴史学部門]
九州大学朝鮮史学研究室

先生の業績のなかで卒論のテーマを一時期朝鮮鐘にしようかと考えていたこともあったので,面白く拝聴しました.西日本にはそれなりの数の朝鮮鐘があり,福岡県の重要文化財になっているものもあります.
秋月城跡出土の高麗鐘(県指定)| 朝倉市


濱田先生の業績で朝鮮鐘関係は以下のような論文があります.

CiNii 論文 -  新羅鐘銘の再検討-1-敦賀市・常宮神社所蔵の「鐘の記」と菁州蓮池寺鐘


CiNii 論文 -  現代日本語訳『新羅聖徳大王神鍾之銘』

最終講義の内容は,

  • なぜ朝鮮鐘なのか
    • 鐘をめぐる日韓交流史
  • 朝鮮鐘の基礎知識
    • 鋳造方法
    • 日本や中国の鐘との形態的な相違
  • 時代による変遷
    • 各時代の代表的な朝鮮鐘
  • 日本への来歴
  • 梵鐘の民俗
    • 男子希求譚
    • 戦争による焼失や金属回収令

特に面白かったのは,文化財の返還に関わるエピソードです.先述の論文を書いたのちに,韓国の文化財返還運動の団体からいろいろ問い合わせが来たそうな.
文化財の返還問題として,最終的にどこに落ち着くべきかは分かりませんが,(史料のすくない時代なのでなかなか難しいですが)歴史的な事実が一つづつ明らかになっていけばと思います.

濱田先生に目録のアルバイトを紹介して貰ったおかげで現在の職業についているので,大変感謝しております.
九大での26年の教員生活おつかれさまでした.今後の研究成果を楽しみにしています.